仏法からキリスト教の教義を眺めてみると、その教えの中に「生命論」という、宗教にとってとても大事なものが抜けていることに気付きます。これは、「生命」そのものを中心に置いて教義を組み立てている仏教から考えると、非常に不可解なことです。
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「宗教」には通常、人間の「生と死をどう考えるか」という,我々にとって最大事な教義体系が存在しているはずですが、不思議なことにキリスト教にはそれが見つかりません。
あるのは「神」の存在、唯それだけです。人間の話は付け足しのように「イエスを信じる事によって永遠の生命を得る信心」と言う、教義なのか神への賛嘆なのかよく理解出来ない「宗教教義」しか存在しないのです。
仏教(日蓮仏法)には「十界論」「十如是」「三世間」、そしてこれらの教義から導かれる「一念三千義」と言う宇宙と生命を詳細に説き明かした「教義」が存在しています。この仏法の生命論は非常に広い宗教概念を含んでいます。
簡単に説明することは難しいのですが、間違いを承知で敢えて分かり易く説明してみると、
我々の住むこの宇宙は、有機質、無機質含め全ては「生命」だと説きます。
「生命」は無始無終。生を受けそして死んで行くという事を永遠に繰り返しています。
当然人間も同じで、生死々々を永遠に続けているのです。キリスト教徒憧れの「永遠の命」も元々人間自身が持っている「一般的な常態」ですので、今更大騒ぎをして神にすがる必要はありません。銀行にある何十億もの自分名義の預金を頑(がん)無視して、ヤミ金に手を出す必要が一体何処にあるのでしょう…。
また、元々保持している永遠の命には、同時に「善悪」の心も一体不二で含まれています。
キリスト教では善の代表として「神」を想定します。この純粋で究極の善は、人間との関わりが一切の無い、完全理想的な宗教概念です。悪もまた同じですが、しかしその様な事は現実の人間の世界では何の意味も持っていません。我々の人間世界は善悪それぞれ渾然一体となって動いていることは、若干の常識ある人にとっては普通の話であるはずです。
つまり、「善」(神)が単独で存在することも、「悪」(悪魔)がそれ自体独立して存在する事も、現実世界ではあり得ないことなのです。
仏法では善と悪(そしてその中間も)は人間の中で共存(この表現は間違っていますが,一応)していると説きます。
この事は要するに、善を成すのも悪に染まるのも全て自分自身(人間)の責任と言う事になります。
これが仏法の「生命論」の、ごく一部ですが、概略説明になります』
仏法から見た場合、キリスト教の「絶対善としての神」「悪の堕落天使(サタン)」,また人間の「原罪」、「無原罪のイエスやマリア」等は、一般的に見ても,また仏法上からも完全に間違っています。
「勧善懲悪」の物語は映画の世界では面白いものでしょうが、この現実世界では、そんな子供だまし的なお伽噺(とぎばなし)は意味のない事なのです。
キリスト者達は「純粋な善」を目指して宗教生活をしていますが、理想とする宗教生活と現実生活との間には天地雲泥の開きがあります。そんな宗教的齟齬(そご)を感じながらも、しかし何とか誤魔化ながらでも両者(神人)一致している如くに生きていかねばなりません。辛い生活です…。
実際彼等はこの二千年間と言う間、その矛盾に悩みながらも生活を続けてきた訳です。ご苦労な話だと言えます…。
そんな事は無い,と強弁する人は宗教と言うものを勘違いしている人でしょう。でなければ馬鹿か白痴なのかも知れません。
「幸福」は神からの贈り物ではありません。同様に、「不幸」も悪魔からの挑戦ではありません。
そんな他人任せ、人間不在の宗教にどうして尚(なお)もすがりつこうとするのでしょう…?
宗教は人間を幸福にする,人間中心のもののはずです。「自分の幸福」と言う人生にとって最大事な事柄を、全て神任せと言う事は完全に間違っています。
宗教は「人間の幸福」を中心にすべきものなのです。
日本には「仏教」と言う宗教が存在しています。日本人はその事の凄さを気にもかけていません。余りにも宗教に無知すぎます。だから低俗なキリスト教などに惹かれるのでしょう。
悪い心や良い心は、実際は自分自身の中に元々持っているものなのです。
「無原罪」とは「純粋な善」と言う事ですが、失敗もオナニーも一度もしたことのないイエスやマリアに、まともな人間的な説教が出来る訳はありません。
宗教とは人間が人間らしく生きる為の「人間への指針」であるはずです。「無原罪」の人は「無原罪」同志でワイワイ楽しくやっていればいいと思います…。
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神への絶対服従と言う「奴隷宗教」から、日本のキリスト教徒達はもうそろそろ離れるべきです。自分の足元には「仏教」と言う、キリスト教の教えなどから想像も出来ない様な凄い宗教が存在しているのです。
一度本気の本気で、自分自身の「宗教人生」を見つめて見るべきです。
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